胃カメラ検査とは

胃カメラ検査とは、上部消化管(食道・胃・十二指腸)を直接観察するための内視鏡検査です。先端に小型カメラが搭載された内視鏡スコープを、口または鼻から挿入して、食道・胃・十二指腸の粘膜の状態をリアルタイムで確認していきます。
加えて、のど(咽頭部)の粘膜も同時に観察することが可能です。検査中に気になる病変が見つかった場合には、その部位の組織を採取して病理検査(生検)を行うことができます。病理検査は、がんや炎症などの疾患を正確に診断するうえで重要な検査です。
また、胃の粘膜から採取した組織を用いて、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)への感染の有無を調べることもできます。
当院の胃カメラ検査は、内視鏡の専門的な研修と豊富な実績を持つ医師がすべて担当しております。これまでの経験を活かし、質の高い検査と適切な診断・処置を行っておりますので、安心してご受診ください。
胃カメラ検査を受ける目安・症状
- 喉や胸のつかえ感・圧迫感が気になる
- 食欲がない状態が続いている
- 黒っぽい便が出る(黒色便)
- 胸やけがする
- 胃に違和感や痛みを感じる
- みぞおち(上腹部)に痛みがある
- 吐き気や嘔吐、ふらつきがある
- 急激な体重減少がある
- げっぷが頻繁に出る
- 過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍を患ったことがある
- バリウム検査で異常を指摘された
- 食道がんや胃がんの治療を受けたことがある
- 喫煙や飲酒の習慣がある
- 家族にピロリ菌の除菌治療を受けた人がいる
- 身内に胃がん・食道がんになった方がいる
- 40歳を超えており一度も胃カメラ検査を受けていない
胃カメラ検査で見つかる疾患例
- 逆流性食道炎
- 食道アカラシア
- 食道裂孔ヘルニア
- バレット食道
- 食道静脈瘤
- 胃潰瘍
- 胃ポリープ
- 十二指腸潰瘍
- 十二指腸ポリープ
- 十二指腸炎
- ピロリ菌感染症
- 胃アニサキス症
- 急性胃炎
- 慢性胃炎
- 萎縮性胃炎
- 胃下垂症
- 胃がん
- スキルス胃がん
当院の胃カメラ検査・特徴
当院では、経鼻内視鏡検査と経口内視鏡検査のいずれかを、患者様のご希望に応じてお選びいただけます。
どちらの検査も、できる限り苦痛を感じずに受けていただけるよう配慮しています。検査前には、内容や流れについて丁寧にご説明し、十分にご理解・ご納得いただいたうえで検査方法を決定しています。ご不明な点やご不安なことがありましたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。
経口内視鏡検査(経口胃カメラ検査)
当院では、胃カメラ検査の主な方法として、経口内視鏡検査(口から挿入するタイプの内視鏡)を行っています。
経口内視鏡は、操作のしやすさや画像の鮮明さに優れており、胃・食道・十二指腸の粘膜を詳細に観察できるという利点があります。検査の際には、事前にのどへ局所麻酔を施し、患者様の状態に応じて静脈から鎮静薬を投与することで、できる限り苦痛を抑えた検査を提供しています。
ご希望があれば、うとうとした状態で検査を受けられる「鎮静下内視鏡検査(いわゆる無痛胃カメラ)」にも対応しており、検査に対する不安がある方にも安心してご利用いただけます。
また、経口内視鏡は、ポリープや潰瘍、がんなどの病変の早期発見に加え、必要に応じて組織の採取(生検)や内視鏡による処置も同時に行えるため、診断から治療までを一貫して進められる点も大きな特徴です。
鎮静下上部消化管内視鏡検査(無痛胃カメラ検査)
当院では、胃カメラ検査に対して強い不安や苦手意識がある方でも安心して受けていただけるよう、鎮静剤を使用してウトウトとした状態で行う「鎮静下内視鏡検査」を実施しています。
いわゆる“無痛胃カメラ”とも呼ばれる方法で、意識がぼんやりとした状態で検査が進むため、のどの違和感や苦痛をほとんど感じずに済みます。鎮静剤は、患者様の体格・既往歴・アレルギーの有無などを事前にしっかり確認したうえで、必要最小限の量を使用します。
そのため、体への負担をできるだけ抑えることが可能です。検査中は、医療スタッフが血圧・脈拍・呼吸などの全身状態を継続的にモニタリングし、安全を最優先に対応しています。万が一、体調に変化が見られた場合でも、すぐに適切な処置を行える体制を整えていますので、安心して検査を受けていただけます。
経鼻内視鏡検査(経鼻胃カメラ検査)
当院では、胃カメラ検査の方法として、鼻からスコープを挿入する「経鼻内視鏡検査」にも対応しています。経鼻内視鏡は、スコープを鼻から通すことでのどを刺激しにくく、「えづき(おう吐反射)」が起こりにくいため、より負担の少ない検査方法として知られています。
さらに、口を使わないため検査中も会話が可能で、医師とコミュニケーションを取りながら進められることが、安心感につながるという利点もあります。使用する内視鏡は細くしなやかで、鼻への刺激をできる限り抑える設計になっています。
検査前には鼻の通り具合を確認し、局所麻酔ゼリーを使用して痛みを和らげるなど、スムーズな検査実施に向けた工夫も行っています。胃カメラに対して不安がある方や、過去に経口内視鏡でつらい思いをされた方にも、比較的受けやすい検査方法としておすすめです。
初診日当日の胃カメラ検査
当院では、食事をとった時間や当日の検査枠の空き状況によっては、初診日でも胃カメラ検査を受けていただくことが可能です。
急に胃の調子が悪くなった場合や、早めに検査を受けたいとお考えの方には、できる限り当日の対応ができるよう調整いたします。
当日の検査をご希望の方は、事前にお電話などでご相談いただけるとスムーズです。不安な症状がある際は、どうぞ遠慮なくお問い合わせください。
最新の内視鏡機器を採用
当院では、内視鏡分野で世界的に高い評価を受けているオリンパス社製の最新鋭内視鏡システム「EVIS X1」を導入しています。このシステムには、組織の質感や色の微細な違いを強調する「TXI(Texture and Color Enhancement Imaging)」や、血管や粘膜の構造をより鮮明に映し出す「NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)」といった高度な画像強調機能が搭載されており、高精細な映像と効率的な画像処理が可能です。
これらの機能により、短時間で精度の高い内視鏡検査が行えるようになり、患者様の身体的なご負担も軽減されます。また、従来機器と比較して病変の早期発見や診断の正確性が大きく向上しているのも大きな特長です。
NBI(狭帯域光観察)について
NBI(Narrow Band Imaging/狭帯域光観察)は、短波長の2種類の光を粘膜に照射することで、粘膜表面の微細な模様や毛細血管の分布を鮮明に映し出す画像強調技術です。
がん細胞は、発生初期の段階でも活発に増殖するため、周囲に酸素や栄養を運ぶための毛細血管が密集しやすいという特徴があります。
NBIを用いることで、こうした早期がんに特徴的な血管の変化や粘膜の異常を視認しやすくなるため、胃がんや食道がんをはじめとする消化管がんの早期発見に有効な手法として活用されています。
TXI(構造色彩強調機能)について
TXI(Texture and Color Enhancement Imaging)は、内視鏡で撮影した映像の「明るさ」「色の濃淡(コントラスト)」「色味」を自動的に補正・強調する先進的な画像処理技術です。
この機能により、粘膜のわずかな色調の変化や、表面の凹凸などの異常が視認しやすくなります。
特に、がんや炎症の初期段階では、正常な粘膜との色の違いが非常に微細なため、従来の白色光観察では見逃される可能性がありました。TXIは、そうしたごく小さな異常を明瞭に映し出すことで、医師の観察精度を高め、早期診断をより確実にサポートすることができます。
170度のワイドアングル
従来の内視鏡は、前方の視野角が約140度に限られていたため、一度に確認できる範囲に制限がありました。
EVIS X1に搭載されている広角レンズでは、従来よりも広い最大170度の視野を確保できるため、観察可能な領域が拡大し、視認性が大幅に向上しています。この広い視野によって、胃のヒダの裏側やシワの間など、病変が見つかりにくい部位も詳細に確認できるようになり、微細な異常の早期発見にもつながっています。
土日・早朝の内視鏡検査
当院では、土曜日・日曜日に加え、平日の早朝時間帯にも胃カメラ検査(上部内視鏡検査)を行っています。
平日の昼間にお時間が取りにくい方、育児や家事で日中の通院が難しい方、またお仕事前の時間に検査を済ませたい方などにも、無理なく受診していただけるよう柔軟な時間設定を行っております。事前のご予約が必要な場合もありますが、ご都合に合わせた検査枠をご案内いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
胃カメラ検査・大腸カメラ検査の同日検査
当院では、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)と大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を同じ日に受けていただくことが可能です。食事制限や下剤の準備といった事前準備を一度で済ませられるため、身体的・時間的なご負担を軽減できるのが大きなメリットです。
特に、お仕事や育児などで複数回の通院が難しい方にとっては、効率的に検査を受けられる方法としてご好評いただいています。同日検査をご希望の方は、事前の診察やスケジュール確認が必要となりますので、お早めにご相談ください。
院内リカバリールーム(回復室)完備
当院では、内視鏡検査後にゆっくりとお休みいただける専用のリカバリールーム(回復室)をご用意しております。
鎮静剤を使用して検査を受けられた方には、検査後に無理に立ち上がることなく、ベッドに横になったままリカバリールームへご案内し、鎮静剤の作用がしっかりと抜けるまで静かにお過ごしいただける環境を整えております。安全性と快適さを重視した院内体制により、検査後も安心してお過ごしいただけます。
胃カメラ検査の受診の流れ
ご予約

当院で胃カメラ検査をご希望の方は、事前にご予約をお願いいたします。ご予約方法は、直接ご来院いただいての窓口予約、電話予約、または24時間対応のWEB予約のいずれかをお選びいただけます。
電話予約やWEB予約をご利用の際は、事前の診察は不要となり、検査当日に外来を受診していただき、そのまま胃カメラ検査へご案内いたします。
また、ご予約後にWEB問診にあらかじめご回答いただくと、当日の受付や検査までの流れがよりスムーズになります。
来院後に問診票をご記入いただくことも可能ですが、その場合は受付順によって検査のご案内が前後することがありますので、あらかじめご了承ください。
なお、ご予約枠がすでに埋まっている場合でも、症状の緊急性によっては当日の胃カメラ検査にも対応可能なことがあります。ご希望の方は、事前にご相談ください。
検査前日の準備

胃カメラ検査を翌日に予定されている方は、前日の夕食を消化にやさしい内容(例:おかゆ、素うどんなど)にし、20時までにお済ませください。なお、午後に検査を受ける方は、前日の食事時間に特別な制限はありません。
水分摂取には制限がありませんので、水やお茶など透明な飲み物は通常どおりお飲みいただけます。また、普段から服用しているお薬については、特別な指示がない限り、いつも通り服用していただいて問題ありません。
検査当日の準備
午前検査の方
午前中に胃カメラ検査を受けられる方は、当日の朝は食事をとらずにご来院ください。
水分の摂取は検査直前まで可能ですが、無色透明の飲み物(例:水・薄めのお茶・スポーツドリンクなど)をお選びください。日常的にお薬を服用されている方は、検査開始の2時間前までに服用をお済ませください。
ただし、糖尿病の治療薬(内服薬・インスリンを含む)は、低血糖のリスクがあるため、検査当日の朝は服用を控えてください。
午後検査の方
午後に胃カメラ検査を予定されている方は、当日の朝7時までに消化の良い軽めの食事をお済ませください。
事内容の例としては、トースト・お粥・スープ・具のない味噌汁・ゼリーなどが適しています。水分補給は検査直前まで可能ですが、色のついていない水、薄いお茶、スポーツドリンクなど透明な飲み物をお選びください。
日常的にお薬を服用されている場合は、検査開始の2時間前までに服用をお済ませください。ただし、糖尿病治療薬(内服薬・インスリンを含む)は、低血糖のリスクを避けるため、当日の朝から検査終了まで服用を控えていただきます。
検査後の服薬再開のタイミングについては、検査後に医師がご説明いたします。また、抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用されている方は、ご自身の判断で服薬を中止せず、必ず事前に医師へご相談ください。
ご来院

胃カメラ検査のご予約時間が、そのままご来院いただく時間となります。
当日の検査を円滑に進めるためにも、ご予約時間に遅れずにお越しいただきますようご協力をお願いいたします。
受付・検査前の準備

受付後に、WEB問診へのご回答がまだお済みでない場合は、その場でご記入をお願いします。
また、事前に診察を受けていない場合は、検査の前に医師による診察を行います。その後、胃内の泡を除去する薬と粘液を取り除く薬を服用し、鼻や喉への局所麻酔を行います。
鎮静剤を使用する場合は、点滴の準備を行い、検査直前に静脈から鎮静剤を投与します。鎮静剤を使用した場合は、安全のため検査当日の車・バイク・自転車の運転は控えていただき、ご家族の送迎や公共交通機関の利用をお願いしています。
検査

検査は左側を下にして横たわった姿勢で行います。所要時間はおよそ5~10分程度です。
検査終了後は、そのままストレッチャーでリカバリールームへ移動しますので、無理なく安静にお過ごしいただけます。
リカバリー・検査結果説明

検査終了後、医師より当日の内視鏡検査結果についてご説明いたします。鎮静剤を使用された方は、薬の作用が完全に抜けるまで、リカバリールームにて30〜60分ほど安静にお過ごしいただきます。
意識がはっきりされた後に結果のご説明を行います。検査中に組織の一部を採取(生検)した場合は、病理検査の結果が出るまでにおよそ1週間程度かかります。そのため、後日再診のご予約が必要です。
飲食は、検査終了から1時間を目安に再開可能です。
まずは少量の水から始めていただき、特に問題がなければ通常どおり水分を摂取してください。飲水に支障がなければ、その後のお食事も可能です。
なお、検査当日は激しい運動を控えてください。組織採取を行った場合は、消化にやさしい食事を心がけ、アルコールの摂取はお控えください。
常用薬については、特別な指示がない限り、いつも通り服用していただいて構いません。
胃カメラ検査の費用
| 診察内容 | 1割負担 | 3割負担 |
|---|---|---|
| 胃カメラのみ | 約1,500円 | 約5,000円 |
| 胃カメラ+病理組織検査 | 約3,000円 | 約10,000円 |