激痛の原因は“あの寿司”だった…胃アニサキス症の正体

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激痛の原因は“あの寿司”だった…胃アニサキス症の正体

 胃アニサキス症とは?寿司や魚介類で起こる激痛の正体

アニサキス症とはどんな病気?寄生によって起こる胃のトラブル

アニサキスはどんな寄生虫?自然界での生態
  • アニサキスは、海に生息する線虫(せんちゅう)と呼ばれる寄生虫の一種で、主にサバ・アジ・サンマ・イカなどの魚介類に寄生しています。
  • アニサキスが寄生した魚介類を生で食べると、誤って体内に入り込んでしまい、胃の粘膜に噛みついて激しい炎症と痛みを引き起こします。これが「胃アニサキス症」です。
  • アニサキスは見た目が白く、長さ2〜3cmほどの糸状の虫で、筋肉(身の部分)だけでなく内臓から身へ移動する性質があります。そのため、新鮮な魚でも、安全とは言い切れない点が特徴です。
  • また、アニサキスは低温や加熱に弱い一方で、醤油・わさび・酢では死滅しないため、見た目や味では防ぐことができません。これが、寿司や刺身による感染が後を絶たない理由です。

 

 人の胃に寄生すると何が起こるのか

 アニサキスは本来、人の体内で生きる寄生虫ではありません。しかし、生魚と一緒に体内に入ると、胃の中で活発に動き、胃の粘膜に噛みついて無理に侵入しようとします。このとき、胃の粘膜が物理的に傷つく「機械的刺激」がまず起こります。

 さらに重要なのは、体の免疫反応です。アニサキスは体にとって異物であるため、侵入をきっかけに、体が強い防御反応(アレルギー反応に近い反応)を起こします。その結果、胃の粘膜に急激な炎症や腫れが生じ、突然の激しい腹痛、吐き気、嘔吐といった症状が現れます。胃の粘膜には非常に多くの神経が集中しているため、アニサキスがわずかに食い込むだけでも強い痛みを感じやすいのが特徴です。
 また、アニサキスは胃の中で体をくねらせながら動き続けるため、痛みが一時的におさまったかと思うと、再び強くなるといった「波のある痛み」を繰り返します。

 さらに、アニサキスが胃の壁に深く刺さると、急性胃炎や胃潰瘍に似た状態になることもあります。この場合、症状が数日間続くこともあり、胃薬や痛み止めだけでは十分に改善しません。

 原因となっているアニサキスを取り除かない限り、炎症は続くため、根本的な治療は内視鏡による虫体の摘出となります。摘出後は、炎症が速やかにおさまり、多くの場合、痛みは短時間で軽快します。

 

 胃アニサキス症の症状|発症までの時間と痛みの特徴

 どんな症状が出る?激痛・吐き気・嘔吐の正体

みぞおちの強い痛みが特徴

アニサキスが胃の粘膜に噛みつくと、みぞおち(心窩部)に突然、耐えがたいほどの強い痛みが出現します。多くの患者さんが、
「差し込むような痛み」「えぐられるような痛み」「波のように繰り返す激痛」
と表現されるほど、非常に強烈な痛みが特徴です。

この痛みは、アニサキスが胃の粘膜に食い込み、体をくねらせながら動き続けることによって起こります。胃の粘膜には痛みを感じる神経が密集しているため、ほんの数ミリの虫でも強い痛みとして感じてしまうのです。

また、痛みは一定ではなく、強くなったり弱くなったりを繰り返すのも特徴で、痛み止めが効きにくいケースも少なくありません。夜間や早朝に突然痛みで目が覚め、救急受診に至る方も多く見られます。

 

 食後どれくらいで発症する?症状が出るまでの時間

 食後数時間で発症するケースが多い理由

胃アニサキス症の症状は、魚介類を食べてからおよそ2〜8時間以内に出現するケースが最も多いとされています。個人差はありますが、早い方では1〜2時間以内に強い痛みが出ることもあり、遅い場合でも半日以内には何らかの異変を感じることがほとんどです。

これは、アニサキスが胃粘膜に噛みつくまでの時間に加え、体が異物として反応し、強い炎症(免疫反応)が起こるまでに一定の時間を要するためと考えられています。噛みついた瞬間から強い炎症が起こり、それまで何ともなかったのに、突然激痛が始まるという特徴的な経過をたどります。

そのため、

  • 「昼に寿司を食べて、夕方から急に痛くなった」
  • 「夜ごはんに刺身を食べて、深夜に発症した」
    といった訴えが非常に多く、食事と痛みの時間差が診断の大きなヒントになります。

 

 胃アニサキス症の検査と診断|胃カメラでの確認が決め手

 胃アニサキス症はどうやって診断する?

 問診で重要なのは「直前に食べた魚介類」

胃アニサキス症を疑ううえで、最も重要なのが「直前の食事内容」です。
特に、

  • 寿司
  • 刺身
  • しめ鯖
  • 生サバ
  • イカの刺身
    などの生や半生の魚介類を、発症の数時間〜半日以内に食べているかどうかが、診断の大きな手がかりになります。
 血液検査だけでは診断できない理由

胃アニサキス症は、血液検査だけでは確定診断ができない病気です。炎症反応(白血球やCRP)が軽度に上昇することはありますが、「アニサキス症だけに特異的な数値」は存在しません。

また、アニサキスに対する抗体検査(IgE抗体)が陽性になることもありますが、

  • 過去の感染でも陽性になる
  • 結果が出るまでに時間がかかる
  • 急性期の診断には向かない
    といった理由から、実際の診療では決め手にはなりません。

胃アニサキス症の有効な確定診断方法は、
👉 胃カメラ(上部消化管内視鏡)で、実際に虫体を直接確認すること
です。

胃カメラを行うことで、

  • アニサキスが胃のどの部位に噛みついているか
  • 炎症の強さ
  • 胃潰瘍などの合併がないか
    まで正確に確認することができ、診断と同時にそのまま治療(除去)へ進める点が最大の特徴です。

 

 胃カメラ(内視鏡)で何がわかるのか

アニサキスの虫体を直接確認できる

胃アニサキス症の最大の特徴は、
👉 「胃カメラ=診断」になるだけでなく、「胃カメラ=そのまま治療」まで同時に行える
という点です。虫体が確認できた場合は、専用の鉗子(かんし)でその場ですぐに摘出(除去)することが可能です。

除去が完了すると、多くの方は数分〜数十分以内に、あれほど強かった痛みが急速に軽減します。
「検査を受けた直後に、嘘のように楽になった」
と感じられる患者さんが非常に多いのも、胃アニサキス症ならではの特徴です。

胃の粘膜に食い込んだ状態も観察可能

アニサキスは、単に胃の中を漂っているのではなく、鋭い口器で胃の粘膜に深く食い込んでいることがほとんどです。胃カメラでは、

  • 粘膜に刺さった虫体
  • 周囲の赤く腫れた粘膜(炎症)
  • 出血やびらん(ただれ)
    などもすべてリアルタイムで確認することができます。

場合によっては、アニサキスの刺入部位に急性胃炎や胃潰瘍に似た変化が見られることもあり、放置してしまうと痛みが長引くだけでなく、胃の粘膜障害が悪化するリスクもあります。

また、症状が強い割に、レントゲンやCTでは異常が分かりにくいケースが多いのも胃アニサキス症の特徴です。そのため、原因がはっきりしない激しい胃痛こそ、胃カメラが最も有効な検査手段となります。

胃アニサキス症の治療|内視鏡による除去が最短の解決法

薬だけでは治らない?アニサキス症の治療の基本

 市販薬や胃薬では虫は死滅しない

胃の痛みが強いと、まず市販の胃薬や痛み止めを飲んで様子を見る方も少なくありません。しかし、胃アニサキス症の場合、
👉 胃薬や胃粘膜保護薬、鎮痛薬ではアニサキスそのものを死滅させることはできません。

自然排出を待つリスクとは

「そのうち自然に死ぬのでは?」と考えてしまう方もいらっしゃいます。アニサキスは人の体内では長く生きられませんが、自然に死滅するまで数日間、胃粘膜に刺さったまま炎症を起こし続けることがあります。

その間、

  • 強い痛みが続く
  • 胃の炎症が悪化する
  • 胃潰瘍を合併する
    といったリスクが高まります。

実際、アニサキスが刺入した部分に出血や潰瘍が形成されるケースもあり、「放置=安全」では決してありません。
胃アニサキス症は、
👉 「我慢する病気」ではなく、「その日のうちに治療できる病気」
であることが大きな特徴です。

胃カメラでのアニサキス除去の流れ

検査と同時にその場で除去が可能

胃アニサキス症の治療は、胃カメラ(上部消化管内視鏡)によるアニサキスの摘出が原則です。検査で虫体が確認できたら、
👉 その場で専用の鉗子(かんし)を使って、すぐにアニサキスを取り除きます。

治療の流れは非常にシンプルです。

  1. 胃カメラで胃の中を観察
  2. アニサキスを発見
  3. 鉗子でしっかりつかんで摘出
  4. 刺入部位の粘膜の状態を確認

という手順で、多くの場合、数分程度で治療は完了します。
また、鎮静剤を使用することで、苦痛を最小限に抑えて検査・治療を受けることも可能です。

除去後はすぐに痛みが改善する理由

アニサキス症の痛みは、虫が胃の粘膜に噛みついていること自体が原因です。そのため、
👉 アニサキスを取り除いた瞬間から、痛みの原因が消失します。

 

アニサキスは冷凍・加熱で予防できる|死滅温度と注意点

冷凍すれば本当に死滅するのか?

−20℃で24時間以上が基本

アニサキスは低温に非常に弱い寄生虫で、
👉 −20℃以下で24時間以上の冷凍
を行うことで、ほぼ確実に死滅することが分かっています。

家庭用冷凍庫での注意点

家庭用冷凍庫でもアニサキスの死滅は可能ですが、業務用冷凍庫と比べて温度が安定しにくいという特徴があります。そのため、

  • −20℃以下を確実に維持する
  • 24時間以上しっかり冷凍する
  • 厚みのある切り身は中心部まで凍るようにする
    といった点に注意が必要です。

また、
👉 冷凍した後に自然解凍して「生食」に戻すことは、予防としては有効
ですが、半凍結状態での調理や、表面だけ解凍した状態での生食は不十分となる可能性があるため、避けたほうが安全です。

加熱調理による予防効果

 60℃以上で完全に死滅する

アニサキスは熱にも非常に弱く、60℃以上で数秒〜数分の加熱により、ほぼ確実に死滅します。
そのため、

  • 焼き魚
  • 煮魚
  • フライ
  • 天ぷら
    といった十分に火を通した調理法であれば、胃アニサキス症は基本的に起こりません。

「しっかり中まで火が通っているかどうか」が最も重要なポイントであり、見た目よりも“中心温度”が大切です。

表面だけ焼いた魚が危険な理由

注意が必要なのが、

  • 表面だけをサッと焼いたタタキ
  • レアに焼いた魚
  • 半生調理
    です。これらは見た目は加熱されているようでも、中心部が60℃以上に達していない可能性があります。

アニサキスは魚の筋肉の深い部分に潜んでいることも多く、表面だけ焼いても中で生き残ってしまうことがあります。その状態で食べると、生食と同様に感染リスクが残ってしまうのです。

 

 胃の痛みは放置NG|こんなときはすぐ内科・消化器内科へ

 胃痛が続くときに考えるべき病気

 胃炎・胃潰瘍・胃がんとの違い

強いみぞおちの痛みがある場合、以下のような病気との鑑別が必要になります。

  • 急性胃炎
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
  • 胆石症・胆のう炎
  • 膵炎
  • 胃がん
  • 虫垂炎

これらは、症状だけでは胃アニサキス症と区別がつかないことも多く、自己判断は非常に危険です。特に、

  • 痛みがだんだん強くなる
  • 黒色便(タール便)が出る
  • 吐血がある
  • 体重減少や食欲不振が続く
    といった症状を伴う場合は、緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。

また、胃アニサキス症は除去すれば急速に改善する一方で、他の病気では痛みが長引くという特徴があります。だからこそ、早期に正確な診断を受けることが何より重要です。

アニサキス症とのセルフ判断は危険

「魚を食べたから、たぶんアニサキスだろう」と思って様子を見るのも、
「たぶん胃炎だろう」と自己判断で終わらせてしまうのも、どちらも非常に危険です。

実際の診療現場では、

  • アニサキス症だと思っていたら胃潰瘍だった
  • 胃炎だと思っていたら胆石発作だった
    というケースも決して少なくありません。

また、胃アニサキス症であっても、
👉 「我慢すれば治る」病気ではなく、「その日のうちに治療できる」病気
です。強い痛みを何時間も我慢する必要はなく、適切な検査と除去によって、短時間で苦痛から解放されることがほとんどです。

早期検査・早期治療が大切な理由

 痛みの原因を早く特定できる

みぞおちの強い痛みがある場合、早期に胃カメラによる検査を行うことで、原因をその日のうちに特定できる可能性が高くなります。胃アニサキス症であれば、

  • 虫体の有無
  • 刺入部位の状態
  • 炎症の程度
    まで正確に確認することができます。

原因が分かれば、

  • アニサキス → その場で摘出
  • 潰瘍・胃炎 → 薬物治療
  • 胆石・膵炎 → 専門医へ紹介
    と、最短距離で最適な治療へつなぐことが可能になります。これは、患者さんにとって身体的にも精神的にも大きな安心材料となります。
 内視鏡はその日のうちに治療まで可能

胃アニサキス症の最大の特徴は、
👉 「検査=そのまま治療」になる点
です。胃カメラでアニサキスを確認できれば、その場で除去し、当日中に激痛から解放される可能性が非常に高くなります。

「仕事があるから」「夜だから」「もう少し様子を見よう」と受診を先延ばしにしてしまうと、

  • 痛みが長引く
  • 睡眠が取れなくなる
  • 胃の炎症が悪化する
    といったデメリットが大きくなります。

「生魚を食べたあとに突然起こった強い胃痛」は、
👉 迷わず、早めに内科・消化器内科へ相談するサイン
と考えてください。

 

 まとめ|寿司・魚介類の後の激痛は「胃アニサキス症」を疑おう

胃アニサキス症の重要ポイントまとめ

症状・時間・検査・治療の要点整理

胃アニサキス症は、寿司・刺身・しめ鯖などの生魚を食べたあと、数時間以内に突然みぞおちに激痛が起こる病気です。主なポイントは以下の通りです。

  • 発症は 食後2〜8時間以内が最も多い
  • 症状は 我慢できないほどの激痛・吐き気・嘔吐
  • 血液検査やCTだけでは 確定診断できない
  • 胃カメラで虫体を直接確認
  • その場で摘出すれば、痛みは急速に改善
  • 薬だけでは根本治療にならない
  • 冷凍(−20℃で24時間以上)・十分な加熱で 予防可能
  • アレルギー型では 命に関わる重症反応が出ることもある

つまり胃アニサキス症は、
👉 「強烈につらいが、早く治療すればすぐに楽になる病気」
である一方、
👉 「放置すると激痛が長引き、合併症やアレルギーの危険もある病気」
でもあります。

 不安なときは早めに胃カメラでの検査を

胃アニサキス症は、
👉 胃カメラで原因をその場で確認し、そのまま治療まで完結できる数少ない病気
です。長時間我慢する必要はありません。

当院では内視鏡専門医による、早朝、夕方のフレキシブルな検査も可能です。

胃アニサキス症に限らず、胃の不調にお困りの方はぜひ当院にご相談ください。

 

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