ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)

Medical ウイルス性胃腸炎(嘔吐下痢症)

MEDICALウイルス性胃腸炎の感染経路

ノロウイルス

ノロウイルスは、最も一般的な胃腸炎の原因で、主にヒトに感染し、胃腸炎を引き起こします。特に冬季に流行することが多い、非常に感染力の強いウイルスです。通常、感染から1~2日以内に発症し、1~3日間症状が続きますが、場合によっては1週間以上続くこともあります。
ウイルスは感染者の便や嘔吐物に多く存在し、直接触れることや飲食物を介して感染します。主な感染源は、感染者との直接接触や、感染者が触れた物(ドアノブやタオル、トイレのフラッシュボタンなど)、感染者の便・嘔吐物、カキなどの貝類などです。

ロタウイルス

ロタウイルスは、乳幼児における下痢症の主要な病原体で、主にヒトに感染し、胃腸炎を引き起こすウイルスです。ロタウイルスに感染すると胆汁の分泌が悪くなるため、便の色が薄くなり、レモン色になることがあります。重症の方では、便の色がさらに薄くなり米のとぎ汁のように白っぽくなることもあります。
ウイルスは感染者の便や嘔吐物に存在し、感染者との接触や感染者の排泄物に接触することで感染が拡大します。ロタウイルスは感染力が極めて高く、ウイルス粒子10~100個で感染が成立すると考えられています。
また、ロタウイルスは環境中でも安定なため、汚染された水や食物などを触った手からウイルスが口に入って感染が成立する場合もあります。特に乳幼児や幼児に感染しやすく、集団感染が起こることもあります。

MEDICALウイルス性胃腸炎の症状

ウイルス性胃腸炎の症状は、突然の嘔吐で始まり、嘔吐に続いて下痢が見られることが多いです。嘔吐は、半日くらいの間に何回も繰り返すことが一般的ですが、1日に1~2回の嘔吐が2~3日続くこともあります。下痢は3日~1週間程度続きます。
ロタウイルスに感染した場合は、酸っぱいにおいのするクリーム色から白色をした下痢が見られ、だんだん水のような下痢になります。発熱はあまり見られませんが、高熱を伴うこともあります。血便は通常見られないことが多いです。

MEDICAL大人のウイルス性胃腸炎は
下痢だけ?

ウイルス性胃腸炎の症状は、子どもの場合は、突然の嘔吐から始まり、繰り返すことが多いですが、大人の場合は、吐き気が無く下痢だけのこともあります。感染するウイルスによっても症状は異なりますが、起こりやすい症状を子どもと大人に分けると以下のようになります。

子ども 大人
  • 突然の嘔吐から症状が始まることが多い
  • 嘔吐を何回も繰り返す
  • 嘔吐の後に下痢が見られることが多い
  • 脱水傾向になりやすい
  • 嘔吐より下痢症状が多い
  • 子どもに比べて症状は強くなく、吐き気やお腹の張り程度の症状で済むことが多い
  • 感染しても特別な症状が出ないこともある

MEDICALウイルス性胃腸炎の治療

ウイルス性胃腸炎には、抗ウイルス薬などの特別な治療方法はありません。重症化を予防し、回復を早める治療として、脱水を防ぐためのこまめな水分補給や腸内環境を整えるための整腸剤を服用します。水分摂取が難しい場合は、点滴で脱水対策を行うこともあります。
ウイルス性胃腸炎による嘔吐や下痢は、体内に入った異物(ウイルス)を体外に出そうとする体の防御反応です。そのため、それを止めてしまうような胃腸の動きを抑える下痢止めは、回復が遅れる可能性があるため推奨されません。ロタウイルスの場合のみ、予防接種があります。
ロタウイルス胃腸炎は初回の感染時の症状が最も重く、2回目以降の感染は症状が軽くなります。ロタウイルスワクチンはこの性質を応用し、ロタウイルス胃腸炎の重症化を予防するためのワクチンです。定期接種として生後6週0日後から接種を受けることができますが、接種期間が短く限られているため、タイミングを逃さないように注意しましょう。

MEDICALウイルス性胃腸炎になったら仕事は休むべき?何日休む?

ウイルス性胃腸炎には、法律上の出勤停止日数は定められていません。しかし、会社ごとの「就業規則」に日数の規定がある場合があり、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などの症状が続いている間は、他人に感染させたり、業務に支障が出たりするため、職場に確認をしてできるだけ休職するようにしましょう。
休職後の復帰時期については一概には言えませんが、ノロウイルスの場合は症状が改善しても1週間程度はノロウイルスが排出されるため、1週間程度は休職することが望ましいです。また、飲食店や食品を取り扱う職場では、検査キットで問題なしとなるまで食品を扱う仕事をしないことが望ましいとされています。

MEDICALウイルス性胃腸炎になった
ときにお勧めの食事

ウイルス性胃腸炎になったときは、無理に食事をとる必要はありません。できるだけ胃腸に負担をかけないようにすることが大切です。腹痛があるうちは絶食し、食事をとる場合は、消化吸収しやすいおかゆや果物、スープ、豆腐、煮込みうどんなどが良いでしょう。
食事の回数は1日5~6回にわけ、1回の食事量をおさえて食べるようにし、食材を細かく切る、煮込んでやわらかくするなども、胃腸への負担を減らすことができます。食事よりも大切なことは、脱水症状を避けるために、十分な水分補給を行うことです。水分補給は水だけでは、電解質の補給ができないため、経口補水液などをこまめに飲むのがお勧めです。
スポーツ飲料で代用することもできますが、一般的にスポーツ飲料は経口補水液よりも電解質が少なく、砂糖が多く含まれています。吸収速度が劣るため、スポーツ飲料で代用するときは、水で薄めて塩を少し溶かして飲むと良いでしょう。
健康な方であれば、1週間程度で自然に治癒しますが、小児や高齢者、持病を持っている方は脱水症になるリスクが高いため、症状が強く水分補給も難しい場合は、病院での点滴を受けましょう。受診が難しい場合は、往診の利用も検討してください。

MEDICALウイルス性胃腸炎の治ったサインはおなら?

ウイルス性胃腸炎になると腸内環境が乱れ、悪玉菌が増加し、「インドール」や「スカトール」というガスを発生させるため、おならが強烈に臭くなります。
そのため、ウイルス性胃腸炎が治ると、おならの臭さがなくなります。もし、症状が回復して、おならが臭くないのであれば、回復しているサインであると考えられます。

監修医師 安江 千尋

安江 千尋

院長資格

専門医
  • 日本内科学会総合内科専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
指導医
  • 日本消化器内視鏡学会指導医
  • 日本消化器病学会指導医

所属学会

  • 日本内科学会
  • 日本消化器病学会
  • 日本消化器内視鏡学会
  • 日本大腸肛門病学会
  • 日本消化管学会
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